少し前までは、脳卒中後の長下肢装具(KAFO)を用いた歩行練習の方法に関する本を探してもなかなか見つからない事が多く、具体的な方法については言及されていない事が多かった。
脳卒中後の歩行練習として、KAFOを用いた方法がある。だが、長下肢装具から短下肢装具に移行するタイミングについては、誰かに聞いてみても、試しにやってみながら移行するのだと返答が多い。新人の時は周りに長下肢装具を用いている人がいなかったので、随分悩んだものだ。
この本の特徴としては、脳卒中後のKAFOを用いた歩行練習の流れがフローチャートを用いて解説されている。歩行練習時に麻痺側の踵からの初期接地ができているか?できていなければ初期背屈角度が必要か、それとも踵の補高が必要かなどから始まり、足継手の底屈制動力の設定方法や機能回復期に合わせた膝継手の調節方法にまで言及している。また、一番悩ましい長下肢装具から短下肢装具への移行のタイミングについては、立脚期に膝関節がどのような状態になっていれば短下肢装具へ移行ができるなどわかりやすく解説されている。
さらに、自分で短下肢装具を着脱する具体的な方法や社会参加の観点から装具をおしゃれに見せる方法, 肩関節の亜脱臼に対して装具を用いた治療方法などについても詳細に解説しており、理学療法士だけでなく、作業療法士にもおすすめできます。
この本は理学療法士だけでなく、作業療法士やケアマネージャなど他の職種に向けた内容や装具を用いた歩行練習について具体的に言及されており、一読する価値はあると思います。
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