不十分な社会的情報から目標が設定され、そこから問題点が抽出され、治療プログラムが立案されやすい

新人さん、実習生さんの報告書を読むことが増えてきたけど、

 
この治療プログラムって意味あるんかなぁ?
在宅へ帰るのであればこれができるようになっても意味ないんと違うかなぁ?

 
と思うことがよくある。
なんでこうなってしまうんだろう??と思うことがよくある。

 
 
在宅に帰る事がほぼ決まっているとすると・・・
 
 
新人さんや実習生さんの場合は、

杖歩行で室内を歩くときに躓くが転倒しない。しかし、病棟内歩行が見守りな状況であれば、目標は杖歩行の安定性向上!
          ↓
その原因は評価すると足背屈筋力低下なので、そこが問題点!
          ↓
筋力増強の治療プログラムを立案します!
 
という風になりやすい。

確かに目標設定はされているが、ご自宅の環境が十分収集できておらず、空想に近いご自宅での生活を想像して、目標を上げ、問題点を抽出し、治療プログラムを立案している事が多い。

 
じゃあ、私ならどうか?というと、

在宅へ帰る事が決まっているなら、ご自宅の環境を考慮すると車椅子を利用して在宅に帰るという方法も選択肢の一つとしてある。この時、杖歩行の安定性向上が最重要な目標とは限らない。なぜなら、杖歩行に対して治療をしても最終的に見守りとなる可能性があるなら、車椅子で自立する事の方が介助者は必要ではないので、優先順位としては高くなる。当然、杖歩行の安定性向上が目標の時とは問題点と治療プログラムは全く異なってくる。

杖歩行で在宅復帰を目指すにしても、歩行中に躓くけど、転倒はしない。ご自宅には常に伝い歩きができるという環境であれば、在宅へ帰る事を考えると杖歩行の安定性向上の優先順位は必ずしも高くない。まずは、伝い歩きが安定していればよいからだ。
トイレに行く際に階段を上れず、失禁してしまう恐れがあるなど他に在宅復帰を難しくしてしまうもっと重大な問題があるかもしれないからだ。この場合は階段昇降の安定性向上が目標となってくるので、問題点、治療プログラムはやはり杖歩行の安定性向上が目標の時とは異なってくる。

 
まとめると、
新人さんや実習生さんの場合、目標を設定する前に十分な社会的情報(介助者の有無、ご自宅の環境、介護保険の有無など)を収集し、どうすればご自宅で安全に暮らせるか?を考え、具体的に退院後の生活を考えた上で目標を設定し、問題点を上げて治療プログラムを立案する。というのが少ない気がします。
 
もっとも、診断名などの医学的情報はネット検索で調べたり、論文を読んだりと情報収集がしやすいのに比べて、社会的情報の収集には、ご家族や他職種とのコミュニケーションが重要となってくるので、新人さんや実習生さんには難しいのかもしれませんが・・・

理学療法士歴: 8年目

*概ね報告書を読んで疑問に思う所を書いたつもりですが、文才がないのでまた書き換えるかもしれません。

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