歩行時のトゥクリアランス低下で躓き、転倒しやすい場合の改善方法

脳血管疾患の片麻痺の麻痺側の下肢のトゥクリアランスが低下しており、前足部が引っかかり、躓いて転倒しそうになったことはないだろうか?

このトゥクリアランスの低下自体は変わらないが、引っかかって転倒するリスクを減少させる方法を説明しようと思います。

トゥクリアランスが低下しているとどうなるのか?

歩行時のトゥクリアランスが低下していると、靴が床を擦ってしまい、引っかかって躓き転倒してしまうかもしれない。

毎日の理学療法の時間は相当多くて3時間。歩行が自立している場合、理学療法以外の時間(睡眠+理学療法の時間以外の時間)で歩行をする中で、躓きを避けるために過剰振出が生じ、麻痺側の上下肢の筋緊張が亢進して、より躓きやすくなる事(分回し歩行の増強など)がある。そして、最大の問題は、この歩行を学習してしまう恐れがある

別の視点で見ると、理学療法士の方であれば、問題点を探して、その問題点に対して治療中だと思う。しかし、理学療法開始の時間に上記の代償運動に対する治療から始めるので、トゥクリアランス低下の問題点に対する治療の時間が少なくなる恐れがある。この為、本当に治療したい問題点がなかなか改善しない事もよくある。

文献

引っ掛かって躓き、転倒するリスクをすぐになくす方法は、文献的にいうとあまり見かけない。が、この方法はあくまで経験的に効果がある気がするという程度です。

具体的な方法


すでにトゥクリアランスが低下している場合、靴底はすでにすり減っているだろう。その場合は、靴底を見てすり減っている部分にクラフトテープを貼ればいい


貼る前(これは左靴)



貼った後(これは左靴。横は剥がれてこないように上側向きに貼っておく)
人によって少し異なるが、わからない人はこの写真のように、MP関節遠位の内側部に貼ってあげればいい。これでトゥクリアランスが低下していても引っ掛かりは減少し、躓き、転倒リスクは減少すると思う。

理学療法中のみで使用するのであれば、靴に靴下を履かせるのも方法としては効果がある時がある。

適応

脳血管疾患の方であれば、麻痺側下肢の随意性がBRSでstageⅡ~Ⅲぐらいの方に比較的効果的な気がします。もちろん運動器疾患でも下垂足で装具を利用しているが、どうも足尖部が擦りやすい方にも効果的だと思います。

実体験

実際にやってみると、大体、痙性麻痺の分回し歩行となりやすい方や弛緩性麻痺の方のすり足、躓きが改善し、過剰努力による麻痺側上下肢の筋緊張亢進の軽減や転倒リスクが減少すると思う。そして、普段から歩行する事や理学療法の治療でトゥクリアランスの問題点が改善する事でクラフトテープが必要なくなる

注意点

屋外歩行をするとクラフトテープが破れてしまって、粘着部が露出する。露出した状態で、室内歩行をすると床に粘着して、逆に転倒リスクが発生するので、使用に関しては注意が必要です。

・クラフトテープを貼るのであれば、貼った後に普段の生活圏での歩行が安全か確認する必要があります。

試してみる場合は、自己責任でお願いいたします

まとめと感想

クラフトテープを靴に貼る事で、振出時の過剰努力の減少や躓き、転倒リスクが減少する場合があります。

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