脳卒中で片麻痺の方の金属支柱付き長下肢装具での歩行練習をするときに
金属支柱付き長下肢装具を利用して、全介助で歩行練習しているうちに、徐々に非麻痺側下肢の伸び上がり歩行が学習され始めてきたな どうしようかな と思う事はないだろうか?。
この時期、平行棒内では、介助下での金属支柱付き短下肢装具の歩行では麻痺側下肢の振出し時に前足部が引っかかり、過剰努力が生じるので、まだまだ平行棒内歩行練習は早いかなと思いやすい。
今回は、これらを回避する方法について考えてみたいと思います。
伸び上がり歩行はなぜ学習されやすいか
金属支柱付き長下肢装具で全介助歩行をする際に、非麻痺側下肢の伸び上がり歩行が学習されやすい気がします。
金属支柱付き長下肢装具は、立位・座位・歩行に必要な股関節周囲筋を鍛える事や歩行に必要な股関節の運動学習を促すなどの良い効果があります。
股関節周囲筋を鍛えるためには、膝や足関節の動揺を防ぐため、膝継手を伸展位で固定する事が多くなります。麻痺側の膝は歩行時には固定されていて曲がらない。このため非麻痺側の足と比べて足が長くなり、脚長差が生じ、伸び上がり歩行となりやすいです。
全介助で歩行練習をするとき、麻痺側下肢の振出は介助していることが多いので、非麻痺側下肢の伸び上がり歩行になる か 麻痺側下肢の分回し歩行となってしまいます。この時、非麻痺側の膝関節の伸展や足関節の底屈の代償運動が生じやすく、伸び上がり歩行が学習されやすいと考えています。
伸び上がり歩行のデメリット
この伸びあがり歩行を続けすぎると、金属支柱付き短下肢装具に変更した際に、伸びあがり歩行の増強した歩行が獲得され、非麻痺側での過剰努力の歩行となりやすい気がします。
また、金属支柱付き長下肢装具での歩行練習の期間が1~2か月と長くなってくると、患者さんはずっと介助されているので、自分では歩いている感じがしなくなってくることがあります。そのため、徐々に歩行練習の意欲が失われ、セラピスト不振となり、他の練習に対しても意欲が低下する恐れがあります。実際にそのような気がします。
なので、早くひとりで歩行できるような練習をするという事が重要となってきます。
解決方法
詳しい方法はこちら
*非麻痺側を補高する方法もあります。
*摩擦係数の低い素材をクラフトテープの代わりに貼り付けてもよいと思います。
適応
脳卒中で片麻痺の方で金属支柱付き長下肢装具では全介助歩行だが、麻痺側下肢の振出が出始めている時期。かつ、金属支柱付き短下肢装具では平行棒内歩行で麻痺側下肢の振出時に前足部が引っかかる場合
実体験
実際にクラフトテープを貼るとわかりますが、平行棒内歩行であれば、金属支柱付き短下肢装具で過剰努力なしに軽介助や監視で歩行が実は可能となっている事に気づかされます。患者さんの意欲も上がります。
場合によっては、自分で平行棒まで車椅子で移動して自主トレーニングで平行棒内歩行練習が早期からできたりします。
注意点
経験的な話なので、本当かどうかは、クラフトテープを貼り付けてみるだけなので、一度試してみて判断していただけると幸いです。
まとめ・感想
脳卒中で片麻痺の方で属支柱付き長下肢装具から金属支柱付き短下肢装具に移行する時期に足先が引っかかるようであれば、装具の底面のMP関節から足先にかけて、クラフトテープをつけてみます。そうすると、金属支柱付き短下肢装具で早期から平行棒内歩行が監視でできる可能性があり、過剰努力も軽減する可能性があります。
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