たまにFIMについて統計をしようと思うといつも
「中央値で表す?それとも平均値で表す??」
「t検定を使う?U検定を使う?どちらで群間比較をするの??」
「ピアソンの方法?スピアマンの方法?どちらで相関関係を調べる??」
という事がわからなくなってしまう。
これを調べるために基本中の基本である
「FIMって名義尺度?順序尺度?間隔尺度??比率尺度??どれだっけ??」
という事をいつも調べる事になる。
そういうわけで、リハビリでよく使う尺度を初めての人にもわかるように分類してみましょう。
*キーボードの「Ctrl」+「F」で何尺度かわからない物を検索するとすぐにわかります。
尺度とは
尺度とは、一定のルールでデータを分類する基準の事になります。
尺度には、
・名義尺度
・順序尺度
・間隔尺度
・比率尺度
の4種類あります。
この下図のようにデータが尺度によって、4つに分類されます。
データの尺度に応じた検定方法(t検定?U検定?など)を知りたい方は、こちらの本がわかりやすいです。
リハビリテーションでよく見かけるFIMなどの尺度を例に挙げて、検定方法の選び方がフローチャートで解説されています。
名義尺度(nominal scale)とは
名義尺度とは、
数値の大きさや順序の意味はありません。
名義尺度の例(性別など)
リハビリでよく使用する名義尺度は、
・性別
・続柄
・身体部位
・居住地域
・健康保険の種類
・病型
・職業
・病名
・疾患
・人種など
になります。
*名義尺度は、ダミー変数にして統計をする事が多いです。
順序尺度(ordinal scale)とは
順序尺度とは、
・相対的な順序関係を示す数値
・数値の順序や大小関係がある
・数値同士の差や倍率には意味がない
という特徴があります。
順序尺度の例(FIM, MMTなど)
リハビリでよく使用する順序尺度は、
・ブルンストロームステージ(Brunnstrom Stage)
・12段階片麻痺グレード
・Modified Ashworth Scale
・徒手筋力テスト(Manual Muscle Test,MMT)
・Mini-Mental State Examination(MMSE)
・長谷川式スケール(HDS-R)
・Functional Independence Measure(FIM)
・Bathel Index(BI)
・アプガー指数(Apgar score)
・重症度分類(軽症,中等症,重症)
・効果判定(無効,有効,著効)
・Yahrの重症度分類
・hugh-Jonesの呼吸困難度分類
・Borg Scale
・要介護度
・Zancoliの分類
・Frankelの分類
などになります。
間隔尺度(interval scale)とは
間隔尺度とは、
・数値の間隔が、等間隔である
・絶対的な原点(0)を持たない
という特徴があります。
間隔尺度の例
リハビリでよく使用する間隔尺度は、
・摂氏温度(℃)
などです。あまりないような気がします・・・
比率尺度(ratio scale,比例尺度,比尺度)とは
比率尺度とは、
・絶対的な原点(0)がある
・数値の間隔が等間隔である
・除算、乗算ができる
という特徴があります。
比率尺度の例(身長,ROMなど)
リハビリでよく使用する比率尺度は、
・絶対温度(K)
・身長
・日数
・陽性率
・有効率
・年齢
・血圧
・脈拍
・呼吸数
・動脈酸素飽和度
・関節可動域(Range Of Motion,ROM)
・Visual Analog Scale (VAS)
・10m最大歩行速度
・6分間歩行試験(6MD)
・ Physiological cost index (PCI)
・Physical work capacity(PWC)
・片脚立位保持時間
・timed “up and go” test(TUG)
・functional reach test(FRT)
・重心動揺検査データ
・呼吸機能検査データ
・EMG検査データ
などになります。
参考図書・文献
今回参考にさせていただいた図書・文献です。
・すぐできる!リハビリテーション統計[解析ソフト付](改訂第2版) データのみかたから検定・多変量解析まで [ 山本 澄子 ]
・EZRでやさしく学ぶ統計学改訂3版 EBMの実践から臨床研究まで [ 神田善伸 ]
・谷浩明.データと測定に関する問題.理学療法学.1996, vol.23, no.7, p.468-471.
・安田明太,小森健太郎.理学療法研究における統計学の誤用について.理学療法学Supplement.2002(0), p.770-770.
・木上喬博.理学療法研究と科学性.理学療法学. 1990, vol.17, no.6, p.549-552.
・古名丈人.理学療法領域におけるデータのまとめ方のヒント.理学療法学. 1996, vol.23, no.7, p.549-475.
・小林武.理学療法領域における統計解析法の選択.理学療法の歩み. 2005, vol.16, no.1, p.25-36.
・荒瀬康司.論文投稿に際しての統計学的記述の留意点.人間ドック. 2018, vol.33, p.557-570.
まとめ・感想・謝辞
今回は、リハビリでよく使用する尺度についてまとめてみました。
FIMは順序尺度になるので、本当は平均値ではなくて、中央値で表現する必要があると思うし、群間比較をするのであれば主としてノンパラメトリックの検定であるU検定を使う必要があります。
という風に尺度に応じた適切な方法や表現を使用する際に参考になれば幸いです。
コメント